建物診断は不動産売買においてはかかせないポイントだ。

私たちの顔のひとつは詰まりなおしのプロフェッショナルだ。

仕事はお客様の困ったから始まる。

中古住宅を購入され引っ越して来たばかりで水が流れない、水の出が悪いなどで修理を依頼されることがあるが、

内装工事は(フルリフォームと称する)綺麗に仕上がっていても、床下、壁中、天井裏の見えない水道配管はリフォームされてないことが多い。

これは工事が特に難易度が高い(RC物件は特に)のと、工事費が異常に嵩むのが原因だが、売る側にとっては見えないところにお金をかけても高くは売れないからというのが一番の悪因である。

ひどい場合は水がまともに流れるようにするのにフルリフォーム?した内装をすべて壊してその下にある配管を取替えなくてはならない場合がある。

もっとひどい場合は床下ではなく階下の天井を壊さなくては配管工事ができない場合も多い、階下の住人が工事に応じないこともある。

こんな中古マンションを買ってしまって水も流せず、風呂も洗濯もできないまま裁判ざたになっているケースもある。

そんなにひどくなく水量を絞れば流れは悪いがダマシダマシ流れるという状態で住んでいる人もいるし、売るに売れない人、ババヌキのように転売する人、多種多様である。

買う前にインスペクションすれば欠陥住宅とまでいかなくても個々の老朽化、手抜き工事など、買主にとっての不安、心配を大幅に減らすことができる、そして買うか買わないかの判断基準になる。

我々はインスペクターではないので部分的な水周りしか見れないし、不動産を買う前に水道屋に見てもらうなんて考えは水道屋以外には無い。

この建物診断(インスペクション)という仕事はアメリカには相当以前からあり、中古住宅市場が活発に動いている一因でもある。

まあ、今はサブプライムに始まる金融危機が叫ばれ住宅市場はまったく蚊帳の外におかれてはいるが。

別の分野では中古車売買のオークション市場の世界で点数評価が取り入れられ買う側の判断基準として一般化されているのが解りやすい例だろう。

日本ではスクラップ&ビルドの政策(癒着政治)から中古住宅市場はアメリカに比べると零細だがホームインスペクションという基準とインスペクターという業者が一般化されれば、住宅市場の構造も大幅に変化するだろう。

ゼネコンや住宅メーカーはもういらない、

良質な不動産業者(今は少ないが)とオープン化された市場情報(レインズは業者用としては意味を成さないが一般化されればかなり貢献はできる)があれば低迷する今の経済を活性化させられる、そして今後経済が元気を取り戻したときも健全な住宅市場が育っていくだろう。

私が10年ほど前から注目している長嶋氏が主催するさくら事務所という会社は日本のホームインスペクションのスペシャリストだ。

氏の考え方はこれからも日本の不動産市場に変化をもたらし、欠陥住宅や買ってから後悔する人が減っていくことだろう。

私たちがめざす水道と共通する、共感する部分はすごく多い。

中古住宅を買うのに水道屋風情にはアドバイスを受けようとは思わなくてもいい、それは当たり前だ、だが後悔する前にインスペクションという言葉を思い出して欲しい。

かならず役に立つはずだ。