ロンドンにいた時よく酒を飲んだ。

そのころはバーボンが好きで、酒屋やバーで

I wanna bourbon american whiskey,do you have?

と言ったら、それに返ってくる答えは、

I hate america.

だった、少なくとも5軒以上で同じ返答だった。

日本ではありえない、

お客様がアメリカの酒が欲しいと言っているのに、

わたしはアメリカが大嫌いだと応える店主や店員。

ロンドンに限らず、パリでもソウルでもはたまた中国のあちこちでも、

アメリカが嫌いだ、

日本人が嫌いだ、

となんども聞いた。

ここでおもしろいのが、アメリカという国を、日本人という人を嫌いだという点だ。

さらに日本という国は好きだが日本人は嫌いだという人も多い。

だからアメリカ英語を話すアメリカかぶれの日本人である私を嫌いだと言っているようなものだが、

私のことは嫌いではない、むしろ面白いから好きだと言う。

これは日本の感覚では理解しずらい面がある。

でもこれが日本以外の感覚なのだ、実に面白い。

私たちはアメリカ人に対してアメリカが嫌いだとは面と向かって言わないし、中国人に対して中国が嫌いだとは決して言わない、

島国の国民性の違いなのか、歴史教育の違いなのか?

日本という狭い国のなかでも沖縄では本土の人間ヤマトンチュは嫌いだと言うことが多いが、これは戦争という歴史がそうしている。

はたして人はなにをよるべにして人を好きになるのだろう?